しょせん観光客、なれど……熊本城復興に思う
これは清正公が築城を指揮した時の装いらしい
そこから見える、崩れた石垣
観光客が近寄って写真を撮っている。それは災難を他人事として「見物」している姿に見える
そして私もその一人……
行幸橋を渡って桜の馬場・城彩苑へ
歴史オタというほどではないが、私も年相応に歴史好きではある。でもここに来た目的は城彩苑湧々座の花童公演
被災した熊本城を見たかった訳ではない
湧々座の脇に復興城主(寄付金)の受付コーナーがある
それを横目に会館内へ
極彩色、虎退治の清正像
その近くに視聴覚コーナーがあった。『今、熊本城の中で何が起きているのか?』――被災状況を克明に撮影した映像が綴られていた
そのー枚――
これを見たとき、ああこれはダメだ、と思った。こんなもの、どうやって復元するのだ
展示会場を抜け出して、復興城主の申し込みコーナーに戻った
圧倒的な暴力に曝されたこの状況――復元なんて出来るんですか?
「20年掛かります」スタッフの男性が言った
20年……こつこつ、こつこつ……この地の人々は、石垣を組み直し暴力の傷痕を癒していくのだろう
申し込みをすると、震災前後の城の写真集を渡された
熊本城本丸御殿――
花童の名作動画が数多く残されている、憧れの舞台。もちろん閉鎖されている
ここで私が花童を観れるのは、いつのことになるのだろう
熊本の被災に対し、私はしょせん物見遊山の観光客、他人である
でも、来て、見る、ということは、寄り添うということの、小さな、ほんの小さな一つなのかもしれない
城彩苑で見つけた写真――
くまモンが城壁を直している
こつこつ、こつこつ……