盆踊りのおしまい
西新井大師で偶然見かけて始まった盆踊りブログ、いよいよ最終回
さすがに10月に入ると盆踊りの開催は少なく、どこにする?という選択肢はない
千代田区ふれあい秋まつり――盆踊りもやります、屋内だから雨天決行です――実際、土砂降りだった。やっとパーキングに駐めて――センターの駐車場が分からなかった――ずぶ濡れで区民センターに入ると
広いロビーにお年寄りがずらり、その奥まったスペースで
踊りの小さな輪、ズラリ座って横向いた、お年寄りの視線を浴びつつ……まあイベントの余興の一つというところか
それでもやっぱり「踊りたくて来た!」という人が何人かいた
イベントのスタッフジャンパーを着た女性が一人、とにかく踊りたくて持ち場を抜けてきた、という感じで輪に入ってきた。丸顔に満面の笑みが好ましかった
豊川悦司(似の男性)が幼い娘を連れて参加している。踊りが終わると直ぐにタクシーで去っていった。この親子、その後、他の会場でも見掛けることとなる――どんな人生模様の父娘なのだろう、とは余計なお世話
港区芝公園での盆踊り、これも大きなフェスティバルでの催しの一つ
この辺、駐車場は少ないし、あっても高い。ぶつくさ言いながらやっと駐めて、増上寺のイベントをぶらぶら。お寺の広間で特別公開、天井の日本画。ずらり数十枚並んだ作品の中には、えっ!というような著名な画家のものもあったらしい――えっ!と言ったのは妻、私は知らない――ぼんやり見惚れていたら、踊りの開始に遅れた
ここから会場の芝公園まで、凄く遠かった。この界隈、広すぎるんだよ
直前まで大雨、開始時刻には上がっていたけれど
地面はぬかるみ。申し訳程度にダンボールが敷いてあったけど、もうドロドロ、みんな水たまりをピョコピョコ避けながら踊る
それでも盆踊ラーは挫けない。着物の人は大変だったろうに、ホントに踊りたいんだね
いつもの盆踊らーの内、村田くん(村田雄浩さん似)――いつも着物の着こなしが決まっていて、腰に提げる小物なんかも粋である――この日は裾の端折り方が堂に入っていて「よ、イナセだね!」と言いたい感じ
途中、太鼓の演技、幟には『助六太鼓』
うーん、江戸前だねえ
そして、べったら祭り――平日だけどその年最後の盆踊り。東京中の盆踊らーが集まるらしい
職場から駆けつけた頃は、プロの歌い手さんで生歌踊り
車両を通行止めして路上で踊る。交差点まではみ出す程の盛況ぶり。とは言え、やっぱり平日、仕事あけはつらいよ。知らない曲も多いし、べったら音頭も覚えていない
街灯に凭れてぼんやりと踊りを眺める。お馴染みの盆踊らーがちらほら……と、無気力姉妹だ!穴八幡以来……なんだか懐かしい。そして揃いの黄色いハッピの中に、プラモさん発見!私の頭は無気力祭り(笑)
一方、ここを先途とばかりに踊り続ける妻。下手くそなりに、何やらコナレ感が出てきた。通ったもんなあ
盆踊りタイムも終わって夜店見物、ベったら漬けを試食して、あとは散策がてら、地下鉄駅まで歩く。燃料切れで途中、焼鳥屋に立ち寄る
祭りの喧騒から離れた場所、この界隈は閑散としていて、外人(アジア人)の女の子がポツンと店番をしていた。壁には古い邦画のポスターが貼られている。よくある「昭和ノスタルジィ」の演出だ。
ホッピーを飲みながら、つらつら眺める寅さんのポスター
「東京市」の情緒を求めて各地を巡った盆踊り。結果として――葛飾、墨田が良かったなあ、と思う。ああ、帝釈天で寅さん音頭を踊りたい……
東京は西から近代化したらしい。荷風さんは日本の情緒が失なわれていくのを嫌って、東へ東へと彷徨った。そして墨東綺譚を書いた。最後は江戸川を越えて千葉県の市川に居を構えた。
盆踊りをきっかけに、私は東京都の西と東を横断した。東京はなんと大きな「地域」の集合体なのだろうと思う。東西でずいぶんとキャラが違う。別の街なのだ
そして私はなんとなく、どこかアカ抜けない「墨東?」が好きである