柴又のさくらさん
柴又は私の好きな東京である
昨年の盆踊りでは、いにしえの「東京市」の面影を求めて、帝釈天での盆踊りに「通った」w
京成線・柴又駅前には、柴又から「旅立つ寅さん」像がある。18年前から「ー人で」立っていた。そして昨日(25日)、寅さんファンの念願が叶って、「見送るさくら」像が誕生した!
もちろん、ここは何度も訪れている。これは昨年9月の『柴又宵まつり』
寅さんの目の前にチンドン屋さんが現れた
寅さん像に群がる子供たち
すっかり懐いてる(笑)
さて、除幕式当日。やっぱり田舎者気質の私達、東京の人混みを甘く見ていた。20分前に駅に着いたらこの状態 なんも見えん(汗)
かろうじて、桜色のベールを掛けたさくら像の頭が見える
そしてさくら=倍賞千恵子さん
山田洋次監督が微かに見えた
(この写真、妻からもらった。ハートマークは妻が自分のSNS用に加工していた)
「見えないけど、音が聴けるだけでも」――かつてスタンディングのライブ会場で、隣に立っていた女性の言葉を思い出した
寅さんファンに混ざって、みんなで監督とさくらさんの挨拶を聞く……そう思うと、やっぱり満足感が湧く――集まった人々の『男はつらいよ』への想いの軽重は様々としても
さくら像のポーズをどうするか? そのイメージを決めるために山田監督はそのシーンのシナリオを書いた
倍賞さんは、その初々しい姿を「これは妹さくらね」と評してから、製作中に工房を訪ねて像にサインをした、というエピソードを明かした
サンダルに『さくら』――「これは倍賞千恵子ではなく、諏訪さくらが書きました」
式典の後、囲み取材。観客が抜けていくなか、やっと前に進めた
「なんでい、さくらばっかりモテやがって」寅さんの僻んだセリフが聞こえそう(笑)
一旦抜けて昼食を取り、2時過ぎに出直した
これを確認したかった。さくらの視線の先の寅さん
寅さんの視線の先のさくら
そこにどんな感慨を抱くのか……ファンの想いは千人千様
以下は2015年3月に書いたブログ――これが私にとっての『寅とさくら』です
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泣いているんだ兄さんは ~ 寅とさくらの物語
「男はつらいよ」の原案は「愚兄賢妹」――
山田洋次監督が語っていた。
これは私が好きなユーモア小説家、佐々木邦の代表作「賢兄愚弟」のリスペクトである。
つまり「男はつらいよ」は賢妹がいて成立する。愛する妹を悲しませるから、兄(男)はつらいのである。
♪
どうせ俺らはヤクザな兄貴
分かっちゃいるんだ妹よ
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは……
私には女きょうだいがいない。
つまり、若い娘さんと生活を共にしたことがない。
もちろん、心配してくれる娘さんもいなかった。
だから、さくらは理想像である。
こんな妹を困らせて
「お兄ちゃん!」と叱られてみたかった。
寅さんシリーズは、三作目と四作目のみ、山田監督がメガホンを取っていない。
そしてこの二作品では、さくらがほとんど登場しない。
威勢の良いオアニイサン、フーテンの寅は賑かに活躍するが、私には物足りなかった。
このシリーズの裏コンセプトは「妹はつらいよ」
これは寅さん映画であると同時に、さくらの映画なのである。
寅さんは誰かに手紙を書くとき、さくらのことをいつも「愚かなる妹」と書く。
ある時、寅さんは さくらの前でそれを読みあげる。文面には愚妹、愚妹と連呼されている。
さくらはそれを聞いても「いやあねえ」とひと言――怒りも笑いもしない。
度量が桁違いに大きいのだ。
何十作目の時だったろう
山田監督がインタビューに答えていた。多分、何作目まで作るのか、というような質問だったと思う
「……さくらもすっかりオバサンになっちゃって」
会話の脈絡もなく、監督が言った。しかもインタビュー中2回も。
理想の さくら を最も追い求めたのは、監督自身――さくらに会いたくて寅さんシリーズを作り続けた、そんな気さえする。
山田監督の初期の作品には「馬鹿が戦車でやって来る」とか「なつかしい風来坊」とか、云わば寅さん系のキャラが活躍する喜劇が多い。
しかし、そこには「マドンナ」はいても「さくら」がいない。
山田喜劇は
さくら=心で泣いてくれる賢い妹
によって完成するのだ
――あくまで個人的な見解ですよ
今、BS-ジャパンで週一回、土曜は寅さん!と銘打って「男はつらいよシリーズ」を放送している
私の印象深かった名セリフは何話目だろうと観ていたら、第8話だった。
とらやの2階、寅さんが鞄に着替えを詰めている。
さくらが上がってきて、寅の脇に悄然と座る
「行っちゃうの?」
「さくら、あんちゃんみたいに、ふらりと旅に出たいと思ったことがあるか?」
「あるわよ……そしてこんな木枯らしが吹く夜に、ああ、今頃さくらはどうしているかな、寒い思いをしていないかな、って……心配させてあげたいわよ」
凛々しく清潔感に溢れ、情は深いが媚びるところがない。
聖女と言ってしまうとそれまでだけど……
文学的(?)に捻って考えてみる。
こんな立派な妹がいたら、愚かな兄はヤンチャして、ダダを捏ねるしか、やりようが無くなってしまう。
立派になるんだ――自慢の兄さんになるんだ――と夢を描いても、生来の怠け者、挫折を繰り返す。
愚兄には、妹を困らせることしか愛情を伝える手段がないのである。
心で泣いて詫びることしか出来ないのである。
つまり、さくらとは男の理想像でありながら――賢く清潔過ぎるがゆえに――
実は男を挫けさせる、希代の悪女なのかも知れない。
と、一応の結論が出たところで――
自分の身に置き換えて、つらつら思う……
愚妻で良かったw
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おまけ――
さくらの魅力は理知的なおでこ。真面目で清潔感溢れるキャラクター
話は飛ぶけれど……
花童を知った頃、まだメンバーの名前が分からなかったので勝手に綽名で呼んでいた
この娘(あかねちゃん)を見たとき思った
あ、さくらちゃんがいる!(笑)