空はどこから

地味に日記を書いていきます

江津湖から益城町へ~震災のかさぶた

とにかくもう、花童が観たくて観たくて、計画した九州旅行。22日は始発電車で羽田へ向かい、福岡空港からレンタカーで佐賀県へ――妻の積年の望みだった有田焼の本場を見るためだ。その夜の内に熊本市内へ……九州を少しばかり甘くみていた。遠かった(汗)

翌日、10時過ぎにホテルを出発。花童が出演する益城町でのイベントは14時から。その間、何の目的もない。

ルートの途中に江津湖があるので寄ってみた

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ついでに、江津湖音頭も踊ってみた

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ここは市民の憩いの公園になっていて――
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スワンボートならぬ、くまモンボート

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とにかく、水がきれいだった。上流から流れ込む他に、湖底からの湧き水も多いらしい。都会に近い公園で、水がこれ程澄んでいる場所は他に知らない

野鳥の楽園。野鳥観察の会が活動していた

この鳥(名前は)何ですか?とその内の一人に尋ねると

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大きなのがアオサギ、小さいのがコサギですよ。ほら、足先が黄色いでしょ、それがシラサギとの違いです――説明しながら、幸せそうな笑顔w

ああ、天下太平である……寒かったけど

 

そして――これに気づく

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 盛り上がった遊歩道、芝生の亀裂

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歪んだ堤、立ち入り禁止のテープ

ああ、震災があったんだ……

震災直後、銀座のくまもと館には行った。でも、私の日常に震災の影はない

益城町へと向かう、沿線に目立って更地が増えてくる

あ!ましきまち……ニュースで何度も耳にした激震地じゃないか

目的地に近づくにつれ、車窓の景色に違和感がつのる。街並みがどことなく、歪んでいるのである

折れた家屋
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傾いた祠
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崩れ落ちた壁、竹の骨材が露になっている
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次々と現れる更地。地表に出来たかさぶたのようだ f:id:faimil:20161228170653j:image

見上げると、クレーンの鉄柱が斜めに何本もニョキリと立っていたf:id:faimil:20161231000957j:image

目的地、益城町文化会館。早く着いたので裏手に廻ってみた f:id:faimil:20161228170627j:image

ホールの裏手階段も崩れている
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このホールで開催されたイベント『天皇誕生日奉祝式典 被災地ご訪問感謝の集い』

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受付で記名しているとテレビ局のレポーターに声を掛けられた

「どちらからおいでですか?」「このような慶賀の式典に興味はおありですか?」

「いえ、私は花童を観に来ただけで……他には何も(考えてなかったです)」

レポーターはそのままお辞儀して去っていった
天皇誕生日と震災復興を兼ねたイベント。舞台上に居並ぶ来賓各位、そして祝辞
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その中で、地元益城町の女性が舞台袖から現われ、スピーチの壇上に立った

――震災後、先行きに希望のない避難所生活を送る中、天皇陛下が慰問に来られると聞いた……当日、空を見上げていると、やがて小さな点が現れた。天皇陛下が乗ったヘリコプターだ。その点が次第に大きくなってくる。それを見たとき……ああ、私はもう大丈夫だ、と思った――

 

災害とは、限られた一部の人にのみもたらされる。被災した人はたまたま運が悪かった人、「災難」の人である。熊本県内だけで見ても、被災者の人口比は僅かだろう。遠く離れた地に住んでいれば現実味は薄い

災難に遭った一部の不運な人々に対し、社会がどれだけ同情の想いを寄せているか――それがコミュニティとしての豊かさ、民度の高さのバロメーターである

天皇国民の幸せを真摯に祈り続けている人である――不運な人に思いを寄せ、助け合える社会を理想とするのであれば、天皇の姿は、まさに豊かであるべき日本の「象徴」である

 

 これは町内の飲食店に貼ってある標語 f:id:faimil:20161228170239j:image

こんな標語があること自体、この地に来なければ分からない

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 地表に散在する空地、これを「震災のかさぶた」と名付けてみた――「かさぶた」とは、やがて肉が盛り上がり、回復していく傷のことである

 

そして、式典の第二部・奉納演芸では、私達夫婦をここまで導いてきたもの――花童登場!となるのだが、それは次のブログにて