空はどこから

地味に日記を書いていきます

隅田の夜~こととい姐さん

月は隅田の屋形船~♪
と歌われているくらいだから、ここで東京音頭を演らないはずがない

隅田川盆踊り大会――墨田区役所うるおい広場、8月20日のことだ

と書いてみて、ふと気づいた
「隅田」と「墨田」どっちがホント?
調べたら、元々の地名は隅田らしい。でも区の名前を決める時、「隅」の字が当用漢字になくて使えなかった
かくて、墨田区立隅田小学校、なんて紛らわしいことになった
しょうがないなあ、と思いつつ、こんな煩わしさもまた人の世の面白さかな、とも思う
人間の歴史なんて、ポ力と後悔の積み重ねである

それはさておき、日本に数限りなくある橋の名前、私が断トツで好きなのは「言問(こととい)橋」
恋問橋って橋もあるけど、これでは直球すぎる
言を問う……コトって何?誰に尋ねたの?
――調べると、原点は業平の歌らしい
名にし負わば いざ言問わむ 都鳥……
なるほど、風情があるはずだよ

さて、この言問、平成・ゆるキャラの時代に……
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猫になった

これが言問姐さん
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着ぐるみだからデカイ――なんて言ったら
「着ぐるみじゃござんせん、言問は言問でござんす」って鉄火に叱られたりしてね(笑)

姐さんを歌った「言問音頭」ってのがあるんだけど
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姐さんがヤグラの上で踊るんだ
その上手いこと!

盆踊りには手本(お師匠さん)が必要、と前回の記事にも書いたけど、この夜一番のお師匠さんはこの姐さんだったね
両の二の腕を前に突き出し、手首を曲げる猫ポーズ、ステップを踏む足さばきの達者なこと
しかも終始笑顔
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まあ、着ぐるみだからね
「着ぐるみじゃござんせん、姐さんは姐さんでござんす」

この地区では太鼓が盛んらしく、打ち手の子供達がいっぱい
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隅田川を見下ろせる、広い敷地、交通の便もいいから観光客に夕涼みのアベックなど、見物や飛び入りもいっぱい、輪も厚みがある
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ー曲を2回づつ掛けるから、飛び入りも踊りを覚えやすい

ここでの演目は東京音頭・大東京音頭・炭鉱節に八木節……
そして何処にでもあるんだね、ご当地ソングは隅田川音頭
その他、知らない曲もある中で、えっ?と思ったのは――オバQ音頭
もう50年近く前の曲だぜ
私は保育園のお遊戯会で踊っていた、もう振り付けなんて覚えていない
その曲をかくも長く、ここでは踊り続けていたんだ!

キュキュキュのキュ、キュキュキュのキュ♪
おじさんおばさん、浴衣の娘さんがみんなで神妙な顔して踊っている
空は晴れたしホイ オバQ
悩みはないしホイ オバQ

盆踊りの不思議な点は、踊り手のほとんどに笑顔がないこと
みんな好きで輪に加わっているくせに、無表情で黙々と踊っている
私はこう解釈している――盆踊りは本来仏事、宗教的祭礼だから神妙な顔で踊る。そして単調な振り付けを延々と繰り返すことで、一種のトランス状態のような愉悦を呼び起こす

大人の一群が神妙な顔で同じ動作を繰り返す――
バケラッターのくーるくる キュウ~♪
両手を横にブラブラさせて、くるりと一回転する
目の前で紺の浴衣、ひっつめの髪、メガネをかけた真面目の権化みたいな娘さんが一心不乱にオバQを踊っている

盆踊りは神事(神仏への祀り事)である!

なんだか、とても……有難い!
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