八月、ぢごくのきせつ
北海道出身、寒冷地仕様の身体には、関東の夏はキツい
30代の頃、京都に住んでいたことがある。土鍋の底のような京都盆地、暑い!熱い!
額から、ダア~と汗が流れる音が聞こえた。ホントに聞こえた
もう晩酌にビールなんて飲めなかった。身体に含んだ途端、ボア~と汗が噴き出した
ホントにボア~って音が聞こえた
ホントだってば!
だから、アルコールの代わりにレモン水を飲んでいた――もう息も絶え絶え
これ以降、私には晩酌にビールを飲む習慣がなくなった
関東圏に居を移して数年になるが、ここの夏も辛い。関東なんて道産子にとっちゃ南国だよ
京都は30代、今は50代、適応能力も生命力も落ちている。毎年、5月から9月まで夏バテだ
そんな中、今年は気合いが違っていた
ファイミル夫妻、散歩オタクになったのだ
歩きたくて仕方ない。休日は2万歩を目指してとにかく歩いた。ふくらはぎの筋肉痛が心地よい
お盆休みを含むこの夏、先ずは朝のラジオ体操、それから歩く。お日さまが昇りきる前に帰って一杯引っかける。
過酷な日中はエアコンを効かせた寝室に避難する
夕暮れ、またぞろ這い出して……各地の盆踊り会場を訪ねて踊りまくった
近畿にいた頃は河内音頭、盛岡はさんさ踊り、東京は――やっぱり東京音頭だね、それと堪んなく好きなのは寅さん音頭!
8月はブログネタがいっぱいだった
……でも書けなかった
記事を仕上げるだけの気力がなかった
頭は常にどんよりと曇っていた
身体は動きたがるのに、頭が働かない
頭が働かないから、身体が闇雲に動きたがる
まるで現実逃避をするように、身体ばかりが騒いでいた
これまで見たくもなかった2ちゃん、ネットの芸能ニュース、スマホで掘り続けた
何でもいい、新しい情報が得られないかと思った
非難、憶測、嘲笑……そこに盛られていた心ない言葉の数々
無責任に放たれる部外者の揶揄中傷……これって言葉のクズ、糞の塊りだね
身体はまるでルーチンワークのように動かしながら、胸は鉛を飲み込んだように重く、いつの間にか項垂れている
元気出しなさいよ――妻が背中をポンポンと叩く
この8月――初頭に地獄に堕ちて、何の光明も見出せないまま終わっちまった。せめて消息が分かれば、肉声が聞ければ、と思う
……でも、楽しいこともあったんだよ。ファイミルも生きているからね
ブログが書きたい、とびきり明るいヤツをね
せめてサムネイルは爽やかに――
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